育てたいのは、服づくりの技術だけではありません。
迷ったり、試したり、選び直したりしながら、
「自分なりの理由を持って選ぶ力」を育てていけたらと思っています。
同じテーマで作っても、みんな全然違うものになります。違うということは、見ているものも、感じていることも違うということ。デザインは「違い」を知る時間でもあると思っています。
「なんでこれにしたの?」と聞くと、「なんとなく」と返ってくることも多いです。でも話しているうちに、その子なりの理由が見えてくる。その瞬間が、私は面白いんです。
「誰に着てほしい?」「どんな気持ちになってほしい?」。自分の考えと、相手の気持ち。その間を何度も行き来します。その繰り返しが、人との関わり方を学ぶ時間なんじゃないかと思っています。
最初は「これでいいのかな」だったものが、少しずつ「これでいい」に変わって、いつか「私はこれがいい」になったらいい。それは小さな経験の積み重ねでしか作れないものだと思っています。
すぐに書き始める子もいれば、じっと考えている子もいます。書いては消して、また前に戻る子もいます。
私たち大人から見ると、止まっているように見える時間もあります。でも、その子の中ではきっと何かが動いているんだと感じます。
「早く終わる」「すぐ分かる」「最短でできる」。最近は、そんな言葉をよく見かけます。効率が必要な場面もあるし、私自身も便利なものには助けられています。
でも、いつからか「時間がかかること」が、悪いことのように感じるようになっている気がしています。
考えること。悩むこと。試してみること。遠回りすること。
その時間には、正解も不正解もありません。
でも、その時間こそが、その子らしさだと思っています。